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神戸地方裁判所尼崎支部 平成6年(ワ)367号 判決

兵庫県尼崎市猪名寺二丁目二一番三二号

原告

株式会社豊和

右代表者代表取締役

安藤和明

原告訴訟代理人弁護士

内田修

内田敏彦

新原一世

田口公丈

浜口卯一

東京都港区芝大門一丁目三番二号

被告

オイレス工業株式会社

右代表者代表取締役

岸園司

名古屋市緑区鳴海町字上汐田六八番地

被告

中央発條株式会社

右代表者代表取締役

丸島博

被告ら訴訟代理人弁護士

秋吉稔弘

柳田幸男

岡田正哉

秋山洋

右岡田正哉訴訟復代理人弁護士

石上日出男

右秋吉稔弘輔佐人

瀧野秀雄

右柳田幸男、岡田正哉、秋山洋輔佐人

鈴木昌明

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告中央発條株式会社は、別紙第一記載の物件を製造し、販売し、展示してはならない。

2  被告中央発條株式会社は、その所有に係る別紙第一記載の物件を廃棄せよ。

3  被告中央発條株式会社は、原告に対し、金五三四六万円及びこれに対する平成六年五月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

4  被告オイレス工業株式会社は、別紙第一記載の物件を販売し、展示してはならない。

5  被告オイレス工業株式会社は、その所有に係る別紙第一記載の物件を廃棄せよ。

6  被告オイレス工業株式会社は、原告に対し、金六八〇四万円及びこれに対する平成六年五月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

7  訴訟費用は被告らの負担とする。

8  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

原告は、ビル用及び工場用の換気、排煙窓開閉装置、その他の防災システム機器の設計、製作、販売及び施工を業とする株式会社である。

被告中央発條株式会社(以下「被告中央発條」という。)は、各種発條及びワイヤロープ利用機器の製造、販売を業とする株式会社であり、被告オイレス工業株式会社(以下「被告オイレス工業」という。)は、ビル用及び工場用の換気、排煙窓開閉装置の販売及び施工等を業とする株式会社である。

2  本件実用新案

原告と訴外株式会社日建設計(以下「日建設計」という。)は、次の実用新案権(以下「本件実用新案」といい、その考案を「本件考案」という。)を共有している。

(一) 考案の名称 窓開閉用操作函の外装カバー

(二) 登録日 平成四年四月二〇日

(三) 登録番号 実用新案登録第一八九九六六〇号

(四) 出願日 昭和六二年四月三日

(五) 出願番号 実願昭六二-五〇七六〇号

(六) 公告日 平成二年一一月七日

(七) 公告番号 実公平二-〇四一六八七号

(八) 本件実用新案登録出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲の記載は、次のとおりである。

「窓の下框に埋設した窓開閉用操作函とその周辺部をともに覆設する周縁が斜めに俯下した長方形の外装カバー、この外装カバーに形成され前記操作函に螺着する取付孔を有した窪面、この窪面の一側孔に操作函の押釦が出没自在に突出し、他側孔に該操作函より突設する蝶軸に枢着された、別の先端にはグリップが内方に自在折曲し、かつ後端では複数の蝶着部を有した掛合片を連接して二段階に屈曲できるようにした把柄、この把柄が該窪面に収納時外装カバーの表面と略々同じ位置に制止する様に構成したことを特徴とする窓開閉用操作函の外装カバー。」(別紙第二記載の本件考案実施例の図面及びその説明参照)

3  本件考案の構成要件

本件考案の構成要件を分説すると、次のとおりである。

(一) 窓の下框に埋設した窓開閉用操作函とその周辺部をともに覆設する周縁が斜めに俯下した長方形の外装カバーを有すること。

(二) この外装カバーに形成され前記操作函に螺着する取付孔を有した窪面を具備すること。

(三) この窪面の一側孔に操作函の押釦が出没自在に突出していること。

(四) この窪面の他側孔に該操作函より突設する蝶軸に枢着された把柄を有すること。

(五) 把柄は、

(1) 別の先端にはグリップが内方に自在折曲し、

(2) 後端では複数の蝶着部を有した掛合片を連接して二段階に屈曲できるようにした

ものであること。

(六) この把柄が該窪面に収納時外装カバーの表面と略々同じ位置に制止する様に構成したこと。

(七) 窓開閉用操作函の外装カバーであること。

なお、右(一)の「窓の下框」とは、高窓より下方に位置する下框の側(そば)を意味する。蓋し、明細書の登録請求の範囲の用語の意義は、請求の範囲以外の部分の記載や図面を考慮して解釈されなければならないところ、本件考案における窓開閉用操作函の埋設場所につき、本件明細書の考案の詳細な説明には、付近を意味する「側(そば)」の字を添えた「下框側」として記載されており、同明細書の図面にも、高窓の下椎より下方の壁面辺りに埋設された操作函が表現されている上、本件考案である窓開閉用操作函の外装カバーは、排煙換気のための高窓を開閉するための手動操作装置であるところ、高窓の下枠部材である下框に右操作函を埋設しても、埋設位置が高すぎて人の手が届かず、手動による窓の開閉操作は不可能ないし困難であるから、当業者であれば、「下框」が字義とおりでなく、「下框の側(そば)」であると推量するのが通常だからである。

また、右の「外装カバー」という文言は、広義では本件考案を構成する一部材たる蓋状外装体の意味、狭義では考案の名称として本件考案の内容そのものの意味があり、(一)、(二)、(六)の「外装カバー」は広義の意味であり、(七)のそれは狭義の意味である。

4  本件考案の目的、作用及び効果

本件明細書の考案の詳細な説明における考案の目的、作用、効果の記載は、次のとおりである。

(一) 目的

本件考案は、框側に埋設した窓開閉用操作函を単に隠蔽状に覆設するだけではなく、取付用の螺子も外見できない上、最も目立ち易いグリップと把柄もワンタッチの折畳み構造でカバーの窪面(凹部)に容易く収納させ、把柄がカバー上面より些かも突出しないから、美感問題は解消しインテリア効果は向上すると共に、付加機能として前記把柄を起曲せず開窓用押釦が一触押圧できるような改良構成により、極めて安全性に富む外装カバーを頗る簡易な造形によって量産して安価で提供することを目的とする。

(二) 作用

長方形で周縁部が斜めに俯下し、中央に回転操作用の把柄が折畳んで収納できる窪面を形設した本件考案による外装カバーは、予め窓の下框側に埋設された操作函に螺着され、その上方の框周辺を前記周縁部が圧接して載設される。そして、該窪面の浅底側より突出した操作函の蝶軸に枢着された複数の蝶着部を有する掛合片を連接してなる把柄は、窪面の収納状態(水平方向)から一八〇度反転した位置に起曲することができるので、更にグリップを九〇度開放して直立状態にした場合、外装カバーの表面上で把柄のグリップを掴持しながら閉窓のためのロープ巻取り操作が安全かつ容易に行われる。この作業が終了して完全閉窓の手応えが感じた時点で、先ずグリップを九〇度倒回して把柄と平行させ、更に一八〇度反転すれば窪面に容易に収納される。次に、開窓を試みる場合は把柄の先端側上面に貼着した「押」マーク箇所を押圧すれば、該把柄は蝶軸を支点として下方に傾動し操作函の開窓用押釦(内部構造は図示せず)を没入させて即時開窓がスタートするものである。

(三) 効果

本件考案によれば、把柄がグリップを抱持して外装カバー窪面中の長溝に嵌入されるから、把柄の板上面が外装カバーの表面と略々同じ位置に納まるため突出物が全然無くなり、框周辺との調和が頗る良好となり、しかも該長溝間における取付螺子を始め前記グリップなど把柄裏全体が隠蔽されるので、美感上の問題点は一挙に解消される。また、外郭線が二重に外見できる周縁形状にしたので、風格が向上し、さらに、付加機能として把柄先端に指示マークを貼着し、開窓の都度把柄を起曲せずに押釦が操作できるようにした構成によって、より安全かつ省力的なサービス機能を備え、とかく操作函側に侵入し易い塵埃の阻止にも役立つなどの諸効果がある。

5  被告らの侵害行為

被告中央発條は、別紙第一記載の物件(名称キャブレックス・オペレーター「ハンドルボックス95」、以下「イ号物件」という。)を業として製造、販売及び展示している。また、被告オイレス工業は、イ号物件を業として販売、展示している。

6  イ号物件の構成

(一) イ号物件の構成を本件考案の前記構成要件に対応させて区分すると、次のとおりである。

(1) 窓の下框側に位置する壁面に埋設すべき窓開閉用操作函Bとその周辺部をともに覆設する周縁2が斜めに俯下した長方形の外装カバー1を有すること。

(2) この外装カバーに形成され前記操作函Bに螺着する取付孔15、15を有した窪面3を具備すること。

(3) この窪面3の一側の孔3bに操作函Bの押釦Pが出没自在に突出していること。

(4) この窪面3の他側の孔3eに該操作函より突設する蝶軸9に枢着された把柄10を有すること。

(5) 把柄10は、

〈1〉 別の先端にはグリップ11が内方への折曲はできない状態に軸止され、〈2〉 後端では複数の蝶着部14a、14a及び14c、14cを有した掛合片14を連接して二段階に折曲できるようにした

ものであること。

(6) この把柄10が該窪面3に収納時外装カバー1の表面と略々同じ位置に制止する様に構成したこと。

(7) 窓開閉用操作函の外装カバー。

(二) イ号物件と本件考案との対比

イ号物件の構成区分(2)は本件考案の構成要件(二)に、同構成区分(3)は本件考案の構成要件(三)に、周構成区分(4)は本件考案の構成要件(四)に、同構成区分(5)の〈2〉は本件考案の構成要件(五)の(2)に、同構成区分(6)は本件考案の構成要件(六)に、同構成区分(7)は本件考案の構成要件(七)に、それぞれ該当する。

(三) ところで、イ号物件の購入者(全国各地にある被告オイレス工業の代理店)は、需要者のためにイ号物件を使用して窓の下框側に位置する壁面に埋設する作業を行うことにより、「埋設状態にある窓開閉用操作函とその周辺部をともに外装カバーで覆設して成る把柄付き窓開閉用操作函」(以下、これを「埋設イ号物件」といい、埋設前の状態にある被告ら製品を「イ号物件」というのと区別する。)を生産する。

(四) このように、イ号物件は、本件考案の構成要件(二)、(三)、(四)、(五)の(2)、(六)及び(七)を充足するものであり、しかも、イ号物件は、埋設イ号物件を生産するために使用され、これ以外の用途を有しない。

7  埋設イ号物件の構成と本件考案との対比

(一) 埋設イ号物件の構成を本件考案の前記構成要件に対応させて区分すると、次のとおりである。

(1) 窓の下框側に位置する壁面に埋設した窓開閉用操作函Bとその周辺部をともに覆設する周縁2が斜めに俯下した長方形の外装カバー1を有すること。

(2) この外装カバーに形成され前記操作函Bに螺着する取付孔15、15を有した窪面3を具備すること。

(3) この窪面3の一側の孔3bに操作函Bの押釦Pが出没自在に突出していること。

(4) この窪面3の他側の孔3eに該操作函より突設する蝶軸9に枢着された把柄10を有すること。

(5) 把柄10は、

〈1〉 別の先端にはグリップ11が内方への折曲はできない状態に軸止され、〈2〉 後端では複数の蝶着部14a、14a及び14c、14cを有した掛合片14を連接して二段階に折曲できるようにした

ものであること。

(6) この把柄10が該窪面3に収納時外装カバー1の表面と略々同じ位置に制止する様に構成したこと。

(7) 窓開閉用操作函の外装カバー。

(二) 埋設イ号物件と本件考案との対比

(1) 埋設イ号物件の構成区分(1)は、本件考案の構成要件(一)に該当する。

この点につき、第一に、窓開閉用操作函の埋設場所につき、本件考案における窓開閉用操作函は、前記のとおり、窓より下方に位置する下框の側(そば)を意味する「窓の下框」に埋設されるところ、埋設イ号物件の窓開閉用操作函も高窓より下方の壁面又は当該壁面と隣接する壁面もしくは柱面に埋設されるから、「窓の下框に埋設した窓開閉用操作函」に該当する。また、本件考案の外装カバーは、框周辺との調和が頗る良好となり美感問題が解消されるという目的効果があるところ、埋設イ号物件は、下框付近の内装と良く調和していて全く違和感がないから、框周辺との調和が頗る良好となるものであり、本件考案と同様の効果を有するものである。

第二に、外装カバーの周縁について、本件考案の「斜めに俯下した」周縁に対応する埋設イ号物件の周縁とは、別紙第一記載のイ号物件の説明(以下「イ号物件説明書」という。)における周縁2を指すのであって、その周縁部分は、外装カバー表面から直角に折り曲げずに丸みを持たせて傾斜角度を徐々に変化させながら折り曲げており、斜めに俯下したものと評価できる。また、本件考案の周縁は、外郭線が二重に外見でき、風格が向上するという効果のほか、横幅(視認できる二本の外郭線の相互間隔)が任意に設定できるという効果があるところ、埋設イ号物件の周縁である折曲部も外郭線が二重に外見できるし、横幅もゼロではないことから、本件考案と同じ効果を奏する。

(2) 同構成区分(2)は、本件考案の構成要件(二)に該当する。

(3) 同構成区分(3)は、本件考案の構成要件(三)に該当する。

すなわち、本件考案の押釦に対応する埋設イ号物件の部材は、イ号物件説明書における押釦Pであって、この部材は窪面の一側孔に出没自在に突出していると評価できる。

(4) 同構成区分(4)は、本件考案の構成要件(四)に該当する。

(5) 同構成区分(5)の〈1〉は、いわゆる均等論により本件考案の構成要件(五)の(1)を充足する。

すなわち、本件考案においては、把柄の先端に設けられているグリップが内方に自在折曲し得るものであるのに対し、埋設イ号物件においては、把柄の先端のグリップが内方への折曲はできない状態に軸止されている点で相違する。

しかしながら、埋設イ号物件における内方への折曲はできない状態に軸止されたグリップは、次の理由により、本件考案における内方に自在折曲し得るグリップと均等物である。すなわち、内方への折曲はできない状態に軸止されたグリップと内方に自在折曲し得るグリップとは、いずれも窓開閉用操作函内の巻取本体を操作する把柄の先端に設けられ、該把柄をロープ巻取り方向に手動回転させる際に、掴持部を把柄の回転面に対し直立させて操作者の手動力を加えさせ易くするという同一の機能(グリップ機能)を有するものである。そして、両者の相違は、把柄が収納されている状態、右グリップ機能を果たすことが要求されていない時期において、把柄収納空間の奥行寸法を減少させるためにグリップを把柄に対し直立状態から平行状態に内方折曲させることが可能か否かの点のみである。埋設イ号物件のグリップは、単に、これを折り畳まずに収納が可能になるという従来製品において通有の当たり前の効果が認められるにすぎず、これにより顕著な効果を奏する等の格別の技術的意義は何ら存在せず、本件考案のグリップを内方折曲不可能な直立状態に軸止されたグリップに置き換えたとしても、本件考案の前記の効果を全て奏することができるから、両者は置換可能であり、しかも、右のごとき内方折曲不可能な直立状態に軸止されたグリップへの置換は、把柄先端に設けるべきグリップの構造に関する従来技術に鑑みれば、本件考案の実用新案登録出願当時そのようなグリップは公知公用であったから、当業者において極めて容易に想到することができたものであって、両者は置換容易である。結局、埋設イ号物件と本件考案とは、解決すべき技術的課題及びその基礎となる技術的思想において何ら変わるところがなく、埋設イ号物件は、取付螺子やグリップなど把柄裏全体を隠蔽して外装カバーの窪面に容易く収納させ、把柄が右カバーの表面より突出しないことから美感問題が解消するという本件考案の目的を達成し、その効果を奏するものである。

したがって、埋設イ号物件のグリップは本件考案のそれと均等物であるといえる。

(6) 同構成区分(5)の〈2〉は、本件考案の構成要件(五)の(2)に該当する。

(7) 同構成区分(6)は、本件考案の構成要件(六)に該当する。

(8) 同構成区分(7)は、本件考案の構成要件(七)に該当する。

(三) このように、埋設イ号物件は、本件考案の構成要件を全て充足し、本件考案の目的効果と同一の目的効果を有するものである。したがって、埋設イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属する。

8  間接侵害

本件実用新案の対象である考案の内容は、本件明細書の登録請求の範囲の記載及び本件考案の二段階屈曲する把柄の取付構造の進歩性から明らかなように、埋設状態の把柄付き窓開閉用操作函と当該操作函及びその周辺部をともに覆設する外装カバーとの組み合わせであるところ、前記6及び7のとおり、イ号物件は、本件考案の構成要件(二)、(三)、(四)、(五)の(2)、(六)及び(七)を充足するものであり、しかも、イ号物件は、本件考案の残余の構成要件(一)及び(五)の(1)をも充足する埋設イ号物件を生産するために使用され、これ以外の用途を有しない。

したがって、イ号物件を製造、販売及び展示する被告中央発條の行為及びイ号物件を販売、展示する被告オイレス工業の行為は、本件考案の間接侵害を構成する。

9  原告の損害賠償請求権

(一) 原告は、業として本件考案を実施している。

(二) 被告中央発條は、イ号物件の製造販売行為が本件考案の間接侵害になることを知りながら又は過失によりこれを知らないで、遅くとも本件考案の出願公告日である平成二年一一月七日以降、イ号物件を製造し、これを被告オイレス工業に販売している。被告オイレス工業は、右購入に係るイ号物件の第三者への販売行為が本件考案の間接侵害になることを知りながら又は過失によりこれを知らないで、遅くとも本件考案の出願公告日である平成二年一一月七日以降、イ号物件の販売をしている。

(三) 被告中央発條によるイ号物件の販売数量は一か月当たり一八〇〇個を下らず、その工場出荷価格は一個当たり一万五〇〇〇円であるところ、同販売による利益率は三三パーセントを下らない。

したがって、本件考案の出願公告日である平成二年一一月七日から平成五年一一月六日までの三年間に、被告中央発條がイ号物件の製造販売により受けた利益は、次式のとおり、三億二〇七六万円となる。

15000×1800×12×0.33×3=320760000

また、被告オイレスエ業によるイ号物件の販売価格は一個当たり二万一〇〇〇円であるところ、その販売による利益率は三〇パーセントを下らない。

したがって、右三年間に、被告オイレス工業がイ号物件及び埋設イ号物件の販売により受けた利益は、次式のとおり、四億〇八二四万円である。

21000×1800×12×0.3×3=408240000

(四) 以上より、原告は、日建設計と本件実用新案を共有していることから、不法行為に基づく損害賠償として、被告中央発條に対しイ号物件の前記製造販売による三年間分の利益の二分の一に相当する一億六〇三八万円、被告オイレス工業に対しイ号物件の前記販売による三年間分の利益の二分の一に相当する二億〇四一二万円をそれぞれ請求する権利を有する。

10  結論

よって、原告は、本件実用新案権の共有持分権に基づき、被告らに対し、右侵害行為の差止及びイ号物件の廃棄を求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償請求として、被告中央発條に対し、金一億六〇三八万円の内金五三四六万円、被告オイレス工業に対し、金二億〇四一二万円の内金六八〇四万円及び右各内金に対する訴状送達の日の翌日である平成六年五月二七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1(当事者)及び同2(本件実用新案)の各事実は認める。

2  同3(本件考案の構成要件)の事実のうち、「窓の下框」が窓より下方に位置する下框の側(そば)を意味すること及び「外装カバー」という文言に広義と狭義の意味があることは否認し、その余の事実は認める。なお、原告の構成要件の分説は、本件明細書の登録請求の範囲の記載に対して恣意的な補充、削除をするなど適切ではない。

3  同4(本件考案の目的、作用及び効果)の事実は認める。

4  同5(被告らの侵害行為)の事実のうち、キャブレックス・オペレーター「ハンドルボックス95」を被告中央発條が業として製造、販売及び展示し、被告オイレス工業が業として販売、展示していることは認めるが、同ハンドルボックス95(以下「被告ら製品」という。)が別紙第一記載の物件(イ号物件)として特定されている物件であることは争う。

5  同6(イ号物件の構成)(一)の事実のうち、構成区分(1)、同(3)及び同(4)の各事実は否認し、その余の事実は認める。

同6(二)の事実のうち、イ号物件の構成区分(3)、同(4)が本件考案の構成要件(三)、(四)に該当することは否認し、その余の事実は認める。

同6(三)の事実は不知。

同6(四)の事実は否認する。

ただし、イ号物件が被告ら製品であることは争う。

6  同7(埋設イ号物件の構成と本件考案との対比)(一)の事実のうち、構成区分(1)、同(3)及び同(4)の各事実は否認し、その余の事実は認める。

同7(二)の事実のうち、(1)、(3)、(4)の各事実は否認し、(5)の均等論の主張は争い、その余の事実は認める。

同7(三)は争う。

ただし、原告主張の埋設イ号物件は、本件考案と対比されるべきものではない。

7  同8(間接侵害)の事実は否認する。

8  同9(損害)(一)の事実は不知。

同9(二)の事実のうち、被告中央発條が遅くとも本件考案の出願公告日である平成二年一一月七日以降イ号物件を製造し、これを被告オイレス工業に販売していること、及び被告オイレス工業が遅くとも本件考案の出願公告日である平成二年一一月七日以降イ号物件の販売をしていることは認め、その余は争う。

同9(三)は争う。

同9(四)の事実のうち、原告と日建設計が本件実用新案を共有していることは認め、その余は争う。

三  被告らの主張

1  本件考案の構成要件の分説

本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載に基づき、本件考案を構成要件に分説すれば、次のとおりである。

(一) 窓の下框に埋設した窓開閉用操作函とその周辺部をともに覆設する周縁が斜めに俯下した長方形の外装カバー、

(二) この外装カバーに形成され前記操作函に螺着する取付孔を有した窪面、

(三) この窪面の一側孔に操作函の押釦が出没自在に突出し、他側孔に該操作函より突設する蝶軸に枢着された、別の先端にはグリップが内方に自在折曲し、かつ後端では複数の蝶着部を有した掛合片を連接して二段階に屈曲できるようにした把柄、

(四) この把柄が該窪面に収納時外装カバーの表面と略々同じ位置に制止する様に構成した、

(五) ことを特徴とする窓開閉用操作函の外装カバー。

なお、右(一)の「窓の下框」という用語は、建築用語上、開閉窓を囲んでいる枠の下枠部分を意味し、それ自体極めて明瞭な記載であって、本件明細書の他の記載等を参酌しなければ理解し得ないものではない。考案の詳細な説明中に「権側」との記載があることは認めるが、「下框」との記載も存する上、「框側」を「框そば」と読む根拠は本件明細書に存在しない。そして、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明中の記載とが不一致ないし矛盾する場合、技術的範囲の判断基準としては前者の記載を優先すべきである。そうすると、「窓の下框」という用語を「窓より下方に位置する下框の側(そば)」と読むことはできない。

また、右の「外装カバー」の文言には二つの意味があるということは、本件明細書の考案の詳細な説明にも記載されておらず、かかる主張は認められない。

2  被告ら製品の構成の分説

被告ら製品の構成は、次のとおり分説することができる。

(一) 高窓より下方の壁面又は当該壁面と隣接する壁面もしくは柱面に埋設した窓開閉用操作函とその周辺部をともに覆設する、周縁を垂直に構成した長方形の外装カバー、

(二) この外装カバーに設けられた、前記操作函に螺着するための取付孔を有した窪面、

(三) この窪面とは別に外装カバーに、操作函内にある押釦にリンクを介して連なる外部押釦を設け、また、前記外部押釦方向と異なる窪面の一側に、連続する深窪部を設け、該深窪部内にはクラッチ機構を収納し、且つ把柄の後端に把柄二段階屈曲用の掛合片を枢着し、該掛合片を前記クラッチ機構に係合させると共に、把柄の先端には回転自在のグリップを取り付け、

(四) 前記把柄が窪面内に収納されるときは、前記掛合片は深窪部内に収納され、前記把柄が該外装カバー表面と略々同じ位置に制止するように構成した

(五) 窓開閉用操作函の外装カバー。

3  被告ら製品の作用効果

被告ら製品の外装カバーが覆設する操作函は、高窓より下方の壁面又は当該壁面と隣接する壁面もしくは柱面に埋設するものであるから、框周辺との調和が頗る良好になるという効果はなく、埋設場所を操作上最も好ましい箇所に選択することができる。また、被告ら製品は、周縁を垂直に構成した長方形の外装カバーであるから、外郭線が二重にならない。そして、被告ら製品においては、外部押釦を押すと、先ず把柄が窪面との係止が解かれて少しく起立して把柄の取出しを容易にするとともに、リンクを介して操作函内の開窓用押釦を押し下げてラチェットの係合を外すという間接制御である。さらに、被告ら製品のグリップは、把柄に回転自在に枢着されていて折曲しないため操作函内にグリップを収容する空間が必要となる。また、把柄の窪面内の収容時の形態についても、被告ら製品では、把柄だけが窪面内に収容されるため、把柄に連設されている掛合片は最初から深窪部内に収容されており、カバー表面は把柄の外周線が見えるだけで極めてすっきりしている。

4  被告らの分説による本件考案と被告ら製品との対比

(一) [本件考案の構成要件(一)については、操作函の埋設箇所が窓の下框であり、かつ、周縁が斜めに俯下した形状であるのに対し、被告ら製品の構成(一)は、埋設箇所が高窓より下方の壁面又は当該壁面と隣接する壁面もしくは柱面であって、下框ではなく、かつ、本件考案の周縁に対応する部分は、原告主張の周縁2(なお、この折曲部分自体、斜めに俯下した形状ではない。)ではなく、垂下部yであって、外装カバー表面に対して垂直に構成した形状であり、その構成が異なる。作用効果についても、まず、本件考案における框周辺との調和が頗る良好になるという効果は被告ら製品にはなく、また、本件考案には操作函の埋設場所が高窓の下框になると操作に困難を生ずるなどの不都合があるが、かかる不都合は被告ら製品にはない。さらに、本件考案では、外郭線が二重に外見できて風格が向上するという効果及び原告主張の横幅が任意に設定できるという効果があるのに対し、被告ら製品では、外郭線が二重に見えるということはなく、横幅なるものも存在しない。

したがって、被告ら製品は、本件考案における埋設場所の特定の要件を欠き、本件考案の周縁と形状を異にし、また、本件考案の期待する効果も奏しない。

(二) 本件考案の構成要件(二)については、被告ら製品においても具備している。

(三) 本件考案の構成要件(三)については、まず、窪面の一側孔に開窓用押釦が出没自在に突出しているのに対し、被告ら製品の構成(三)では、開窓用押釦は窪面とは別の位置の操作函内に設けられ、外装カバーに設けられた外部押釦とリンクを介して連なっている。

また、本件考案では、把柄の先端のグリップが内方に自在折曲しているのに対し、被告ら製品では、把柄先端にグリップが回転自在に取り付けられ折曲するものではない。そのため、本件考案では、グリップを開放し直立状態にしてロープを巻取り、完全に閉窓した後にグリップを倒回して把柄下面と並行状に当接させて把柄に隠蔽し、把柄と共に窪面に容易に収納できるのに対し、被告ら製品では、グリップが把柄下面と並行状に当接せず、把柄の収納のためには操作函にグリップを収納する空間が必要になる反面、グリップを開放、倒回することなくロープの巻取りができるほか、グリップ部分に曲折箇所を設けていないためグリップ部分の掴持を確実にしてハンドル操作が確実となる。

したがって、被告ら製品は、本件考案と構成のみならず、作用効果を異にする。

右グリップの構造につき、原告は、右の相違を認めながら、埋設イ号物件のグリップは本件考案のグリップと均等物であるから、埋設イ号物件は本件考案の技術的範囲に属すると主張する。しかし、本件明細書の実用新案登録請求の範囲に明記された「グリップが内方に自在折曲」するという構成は、本件考案の目的を達成し、作用効果を奏するために必要不可欠の技術であるが、被告ら製品の「内方に自在折曲しない」グリップは、その構成のみならず、前記のとおり、本件考案と作用効果も異なるのであり、置き換え可能な技術ではないから、本件考案と同一視することは明らかな技術的範囲の拡張になる。また、被告ら製品のグリップは公知公用の技術であるから置き換えが容易であるという原告の主張も、均等論において採用するのは不当である。したがって、原告の均等論の主張は失当である。

なお、原告主張の埋設イ号物件なるものは、本件考案の構成要件と対比されるべきものではないから、無用のものである。

(四) 本件考案の構成要件(四)については、被告ら製品においても具備している。

(五) 本件考案の構成要件(五)については、被告ら製品においても具備している。

(六) 以上のとおり、被告ら製品は、被告らの分説における本件考案の構成要件(一)及び(三)を欠如しており、その作用効果も異なる以上、本件考案の技術的範囲に属するものではない。

5  間接侵害の主張について

原告は、被告ら製品が本件実用新案の間接侵害を構成すると主張するが、間接侵害とは、当該考案の構成要件の一部のみを実施しているにすぎない場合、実用新案法二八条の要件が存在するときに侵害とみなすものであり、本件とは事実関係を異にするから、本件は間接侵害になるものではない。

なお、原告は、間接侵害の主張の前提として、本件考案の内容は「埋設状態にある外装カバーで覆設された把柄付き窓開閉用操作函」であると主張するが、本件明細書の記載をみると、本件考案の名称及び本件考案の目的、効果の説明は、いずれも外装カバーについてのみ明示されており、窓開閉用操作函自体の目的効果については説明がないことから、本件考案の内容が窓開閉用操作函を覆う外装カバーであることは明らかであり、また、本件考案が埋設状態にあるものであるということも、本件において全く無意味かつ無関係なものであるから、原告の間接侵害の主張はその前提自体認められない。

第三  証拠

証拠関係は、本件記録中の書証目録及び証人等目録のとおりであるから、これらの各記載を引用する。

理由

一  請求原因1(当事者)、同2(本件実用新案)及び同4(本件考案の目的、作用及び効果)の各事実は当事者間に争いがない。

二1  同3(本件考案の構成要件)については、まず、右争いのない事実及び証拠(甲二)にょれば、本件考案の構成要件は、次のとおり分説するのが相当である。

(一)  窓の下框に埋設した窓開閉用操作函とその周辺部をともに覆設する周縁が斜めに俯下した長方形の外装カバー、

(二)  この外装カバーに形成され前記操作函に螺着する取付孔を有した窪面、

(三)  この窪面の一側孔に操作函の押釦が出没自在に突出し、

(四)  この窪面の他側孔に該操作函より突設する蝶軸に框着された把柄、

(五)  把柄は、

(1) 別の先端にはグリップが内方に自在折曲し、

(2) かつ後端では複数の蝶着部を有した掛合片を連接して二段階に屈曲できるようにし、

(六)  この把柄が該窪面に収納時外装カバーの表面と略々同じ位置に制止する様に構成した、

(七)  ことを特徴とする窓開閉用操作函の外装カバー。

2  右の「窓の下框」の意味及び「外装カバー」の意味について検討する。

一般に、当該考案の技術的範囲の判断においては、まず当該明細書の実用新案登録請求の範囲の記載を基準とすべきであるところ、登録請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するにあたっては、文言の一般的意味内容のみにとらわれず、明細書の考案の詳細な説明の記載や図面を参酌してその文言に表された技術的意義を考慮した上で、客観的、合理的に解釈、確定すべきである(実用新案法二六条の準用する特許法七〇条参照)。

これを右の「窓の下框」の意味についてみるのに、前記争いのない事実及び証拠(甲二、三、乙一の一ないし九、二の一ないし三、原告代表者)並びに弁論の全趣旨によれば、窓開閉用操作函の埋設場所につき、本件明細書の実用新案登録請求の範囲には「窓の下框」と記載されていること、確かに、「窓の下框」という文言は、一般的には開閉窓を囲んでいる枠の下枠部分を意味するものであること、しかし、本件明細書の考案の詳細な説明には概ね「窓の下框側」ないし「框側」と記載されており、本件考案の実施例の図面第5図(別紙第二参照)には高窓の下枠より下方に位置する箇所に窓開閉用操作函が埋設された表現になっていること、本件考案である窓開閉用操作函の外装カバーは、排煙換気のための高窓を開閉する手動操作によるロープ巻取り装置であるところ、高窓の下枠部材である下框に右操作函を埋設しても、埋設位置が高すぎて人の手が届かず、手動による窓の開閉操作は不可能ないし困難であること、法令上(建築基準法施行令一二六条の三第五号)も、手動開放装置のうち手で操作する部分に相当する右操作函は、床面から八〇センチメートル以上一五〇センチメートル以下の高さの位置に設けることが義務づけられていることが認められる。そうすると、当業者であれば、本件考案における窓開閉用操作函が高窓の下框より下方に位置する箇所に埋設するものであることは通常容易に理解し得るというべきであって、本件明細書の登録請求の範囲に記載された「窓の下框」は、窓の下框そのものではなく、高窓の下框より下方の周辺を意味する「窓の下框側(がわ)」として理解することができる。

この点につき、被告らは、「窓の下框」は文言の一般的意味どおり窓の下枠部分を意味するとして、登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明中の記載とが一致しない場合には考案の技術的範囲の判断基準としては前者の記載を優先すべきであると主張するが、排煙換気目的の高窓を手動で開閉するための装置である本件考案の技術的意義を考慮すれば、採ることはできない。また、証拠(乙八)には「窓の下框」を窓の下側の水平面の化粧横木と解する旨の記載があるが、十分な根拠を有するものとはいえず、これまた採用できない。

3  次に、「外装カバー」の意味についてみるのに、原告は、本件明細書の登録請求の範囲に記載された「外装カバー」には二つの意味があり、構成要件分説(一)、(二)、(六)の「外装カバー」は本件考案を構成する一部材たる蓋状外装体の意味であり、同(七)の「外装カバー」は考案の名称として本件考案の内容そのものの意味であると主張するが、かかる意味内容は本件明細書の考案の詳細な説明に何ら記載されていない上、右の(七)は構成要件分説(一)ないし(六)の特徴を有する「外装カバー」という意味では本件考案の内容を示すものの、それは(一)ないし(六)の特徴を有する「蓋状外装体」というのと同義であって、特に(七)の「外装カバー」を(一)、(二)、(六)のそれと別異に解する理由はないから、「外装カバー」という文言自体は蓋状外装体の意味に一義的に理解されるべきである。

三1  同5(被告らの侵害行為)の事実は、イ号物件の構造の点を除き当事者間に争いがない。

2  そこで、右の点を併せ、同6(イ号物件の構成)について検討する。

イ号物件の構造について、被告らは、原告主張の構造説明を概ね否認し、被告ら製品の図面及び構造説明を主張するが、その主な内容は、イ号物件の構造説明の程度及び原告主張の部材の用語表現の不適切さをいうにすぎず、実質的には原告の構造説明と重複するものであって、前記争いのない事実及び証拠(甲二、三の一部、四、五、乙三、検甲一の一ないし六の各A及びB、検甲二の一ないし三、検証〔原告製品の分解品二個、イ号物件完成品一個及び同分解品二個〕、原告代表者の一部)並びに弁論の全趣旨を総合すると、イ号物件の構造は、別紙第一記載のイ号物件説明書のとおりであり、また、同説明書に基づくイ号物件の構成区分及び目的作用効果は、次の3のとおりであると認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

3(一)  イ号物件の構成区分

(1) 高窓より下方の壁面又は当該壁面と隣接する壁面もしくは柱面に埋設した窓開閉用操作函Bとその周辺部をともに覆設する、外周縁部1aが表面部xと、表面部xから斜め下にR状に折れ曲がった周縁2と、表面部xと直交する垂下部yとからなる長方形の外装カバー1、

(2) この外装カバー1に形成され、前記操作函Bに螺着する取付孔15、15を有した大窪面部3a、

(3) この大窪面部3aとは別に外装カバー1の表面に、操作函Bの第二押釦Qと長尺レバー7を介して連なる押釦Pを設け、

(4) この押釦P方向とは異なる大窪面部3aの一側の孔(深窪部)3eには、操作函Bの巻取本体5とワンウェイクラッチCを介して連結する蝶軸9に框着された把柄10があり、

(5) 把柄10は、

〈1〉 先端には回転自在のグリップ11が軸止され、

〈2〉 後端では蝶着部14a、14a及び14c、14cを有した該掛合片14を連接して二段階に屈曲できるようにし、

(6) この把柄10が大窪面部3aに収納時外装カバー1の表面と略々同じ位置に制止する様に構成した

(7) 窓開閉用操作函の外装カバー1。

(二)  イ号物件の目的及び作用効果

イ号物件は、本件考案と同じく排煙換気のための高窓を開閉する手動操作によるロープ巻取り装置であるところ、かかる装置においては、従前より、ロープ巻取り用の把柄につき着脱式を止めて保管紛失の不備を除外し、かつ操作函や把柄等を壁や柱などに内設して安全及び美感の確保を図ることに主な技術課題があった。そこで、イ号物件の外装カバーは、高窓より下方の壁面又は当該壁面と隣接する壁面もしくは柱面に埋設した窓開閉用操作函を隠蔽状に覆設するだけではなく、グリップを把柄とともに外装カバーの窪面に収納させて把柄がカバー表面から突出しないから、高窓の下方周辺の内装との調和が良好になり、また、把柄を起曲せず押釦を一触押圧すると即時に開窓できるというものであって、主な目的及び作用効果は、本件考案とほぼ同様である。

ただ、イ号物件には、次のとおり、本件考案と異なる目的及び作用効果もある。第一に、外装カバーの周縁2のR状に成形されている部分(これは金属加工上の必然とも思われる。)は、通常、人体や衣類等との接触時の安全という効果を奏するが、外郭線が二重に見えて風格が増すといった効果はない(なお、証拠〔原告代表者、甲三〕には、イ号物件のR状の折曲部分は外郭線が二重に視認できるとの部分があるが、乙三及び検証〔イ号物件完成品・同分解品〕に照らしても、措信できない。)。第二に、イ号物件の開窓用押釦は、直接的には窪面とは別の操作函内にある第二押釦Qであり、外装カバー表面の押釦Pを押すと長尺レバーを介して連なる第二押釦Qが押し下げられてラチェットの係合を外すことにより開窓がスタートするという間接制御になっている。第三に、イ号物件の押釦Pは、右の開窓目的のほか、把柄の取り出しを容易にするという目的及び作用効果がある。すなわち、把柄10は収納状態においては板バネ24の弾発力により常時外方に押圧されているところ、把柄10の先端に形成された係止片10cが摺動枠体4の係止爪4aと係合して収納維持されているが、押釦Pを押すと、圧縮バネ23により大窪面部3a方向に常時押圧されていた摺動枠体4が逆に摺動して係止片10cと係止爪4aの係合が外れて把柄10が飛び出し、取り出しを容易にするというものである。第四に、イ号物件の把柄のグリップ11は、ロープの巻取りを確実かつ容易にする目的で回転自在かつ曲折箇所のない構造になっている。第五に、イ号物件では、把柄を外装カバーの表面と略々同一に収納するために、窪面にグリップ部収納孔3fを設けるとともに、開窓用押釦を間接制御にすることにょり第二押釦Qなど操作函本体装置の位置を略中央から把柄後端側に寄せて、操作函内に把柄先端部のグリップが収納できる空間を設けている。第六に、イ号物件の掛合片14の二段階屈曲構造は、把柄後端部に連接された掛合片14が孔(深窪部)3eに完全に収納され把柄により隠蔽される構成であるため、外装カバー表面がすっきり見える効果がある。

4  そこで進んで、以上の認定事実を前提として、イ号物件と本件考案を対比することとする。

(一)  イ号物件の構成区分(1)と本件考案の構成要件(一)については、まず、窓開閉用操作函の埋設場所につき、前記のとおり、本件明細書の登録請求の範囲に記載された「窓の下框」は高窓の下框より下方の周辺を意味する「窓の下框側(がわ)」として理解されるところ、イ号物件の操作函も高窓より下方の壁面又は当該壁面と隣接する壁面もしくは柱面に埋設されるから、本件考案の操作函の埋設場所の要件に該当する上、イ号物件の外装カバーは、前記認定のとおり、框周辺の内装との調和が良好になるという目的効果を有するから、その限りで本件考案の目的効果とも一致する。

しかしながら、外装カバーの周縁についてみるのに、本件考案の「周縁」に対応するイ号物件の部位は、前記認定のカバー表面部から斜め下にR状に折れ曲がって垂下する部分であるところ、そのR状の折曲部分は、本件考案の「斜めに俯下した」という概念と相容れないばかりか、安全という効果はあるものの、二重の外郭線が見えるものでないことは、前記認定のとおりであって、イ号物件は、外装カバーの周縁につき、本件考案と構造及び効果を異にするといわざるを得ない。この点、原告代表者は、本件考案の周縁につき美観のほか安全も考慮した旨供述するが、本件明細書にはかかる記載がない上、例えば、別紙第二記載の第1図の周縁2の部分の傾斜角度を大きくした場合には安全性にも疑問が出てくることから、右供述をたやすく採用することはできない。

したがって、イ号物件の構成区分(1)は、本件考案の構成要件(一)を充足しないというべきである。

(二)  イ号物件の構成区分(2)が本件考案の構成要件(二)を充足することは当事者間に争いがない。

(三)  イ号物件の構成区分(3)と本件考案の構成要件(三)についてみるのに、本件考案における押釦の目的は、把柄を起曲せずに一触押圧により即時に開窓することにあり、イ号物件の押釦Pにも同様の目的があること、しかし、本件考案の開窓用押釦が窪面内にあり、把柄の先端側上面に貼着した「押」マーク箇所を押圧すれば該把柄が下方に傾動して開窓用押釦を没入させて即時開窓するという作用があるのに対し、イ号物件の開窓用押釦は、直接的には窪面とは別の操作函内にある第二押釦Qであって、外装カバー表面の押釦Pを押すと長尺レバーを介して第二押釦Qが押し下げられて開窓するという間接制御であること、イ号物件の押釦Pには収納状態における把柄の係止片を外して把柄を飛び出させて取り出し易くするという目的作用もあることは前記認定のとおりであり、イ号物件と本件考案とは、その構造のみならず、目的及び作用効果を異にするといわざるを得ない。

この点、原告は、本件考案の押釦に対応するイ号物件の部材は押釦Pであるとし、この部材は窪面の一側孔3bに出没自在に突出していると評価できると主張するが、そもそも原告主張の一側孔3b(小窪面部)なる部位は存在せず、押釦Pが窪面の一側孔3bに出没自在に突出しているということはできないのであって、右主張は、押釦Pの開窓目的効果のみに着目したものというべきであり、採用するのは困難である。また、証拠(原告代表者、検証〔原告製品の分解品〕)によると、原告製品において把柄の「押」マーク箇所を押圧した際に把柄がカバー表面から浮き上って取り出せるようになることが窺えるが、かかる効果につき本件明細書には何ら記載がなく、同効果に関し右原告製品が本件考案の実施例であるとすることには疑問がある(右原告製品には収納時の把柄先端部に位置する窪面にバネ様の部材がある。)から、右効果を本件考案の技術的範囲の判断に供することは妥当でない。さらに、甲三(原告代表者の陳述書)には、被告らが本件考案との違いを見せかけるため外部押釦だけで十分な開窓用押釦を操作函内に設置したのであり、迂回技術にすぎないとの記載があるが、前記認定のとおり、押釦Pには開窓以外の目的効果もある上、操作函内にグリップを収納する空間を設けるために開窓用押釦が間接制御とされたのであり、単なる迂回技術とはいえないから、右記載は採用できない。

したがって、イ号物件の構成区分(3)は、本件考案の構成要件(三)を充足しないというべきである。

(四)  イ号物件の構成区分(4)は、本件考案の構成要件(四)を充足するということができる。この点、被告らは、イ号物件の構成区分(4)に対応する原告主張の構造説明を否認するも、本件考案の構成要件(四)との違いについては明らかには争わないものと認められる。

(五)  イ号物件の構成区分(5)の〈1〉と本件考案の構成要件(五)の(1)についてみるのに、イ号物件のグリップは、内方に自在折曲するかどうかの点で本件考案のグリップと構造を異にするところ、問題は、イ号物件のグリップが、いわゆる均等物として本件考案の技術的範囲に属するということができるか、である。

一般に、実用新案権の技術的範囲に属するかどうかは、法的安定性の見地から、原則として、当該考案の構成に欠くことのできない事項のみが記載された登録請求の範囲に記載された構成により決めるべきものであって、物に係る考案と侵害対象物件がその一部の構成を異にする場合においては、侵害対象物件は当該実用新案権の技術的範囲に属さないものというべきであるが、その場合であっても、解決すべき技術的課題及びその基礎となる技術的思想が当該考案と侵害対象物件とにおいて変わるところがなく、したがって、侵害対象物件が当該考案の奏する中核的な作用効果を全て奏することとなる反面、これに関連する一部の異なる構成に顕著な効果を奏する等の格別の技術的意義が認められず、かつ、当該実用新案の登録出願当時の技術水準に基づくとき、右一部異なる構成に置換することが可能であるとともに、容易に右置換が可能である場合には、例外として、侵害対象物件は実用新案権の技術的範囲に属するもの、すなわち均等物として侵害を構成するものと解するのが相当である。

そこで、以上の観点から、イ号物件と本件考案とを対比検討してみるのに、本件考案の技術課題は、窓開閉用操作函のロープ巻取用把柄につき着脱式を止めて保管紛失の不備を除外し、かつ操作函や把柄等を下框側に内設して安全及び美感の確保を図ることにあったところ、本件考案の外装カバーは、操作函等を隠蔽するほか、最も目立ちやすい把柄やグリップを外装カバーの窪面に収納させてカバー表面に突出しないようにして美感問題を解消することを目的とし、かかる効果を奏するものであること、そして、本件考案では、把柄の先端に内方に自在折曲したグリップが取り付けてあり、グリップを九〇度開放して直立状態にして閉窓のためのロープ巻き取り操作を行い、完全に閉窓した時点でグリップを九〇度倒回して把柄下面と並行状に当接させ、把柄と共に窪面に容易に収納されるという構成を採用していること、これに対し、イ号物件の外装カバーも、本件考案とほぼ同様の技術課題を解決しようとし、本件考案と主たる目的及び効果を同じくするものであること、しかし、イ号物件のグリップは内方に折曲するものではなく、把柄を外装カバーの表面と略々同一に収納するために、窪面にグリップ部収納孔を設けるとともに、開窓用押釦を間接制御にすることにより右押釦など操作函本体装置の位置を略中央から把柄後端側に寄せて操作函内にグリップを収納する空間を設けていること、また、折曲しないグリップは、グリップを開放、倒回することなくロープの巻取りができる上、グリップ部分の掴持を確実にしてハンドル操作の確実を期待するという本件考案とは別の作用効果もあることは、前記認定のとおりである。そうすると、イ号物件と本件考案とは、解決すべき技術的課題を同じくし、グリップと把柄を外装カバーの窪面に収納するという主たる目的及び効果は同一ということができるとしても、その目的達成のための中核的構造及び作用について、本件考案では内方折曲可能なグリップ、イ号物件では窪面の収納孔及び操作函内の空間確保というように顕著な相違があり、直ちに置換可能とはいえないばかりか、その技術的思想において異なるものというべきである。したがって、原告の主張する均等論は失当であるというほかはない。

この点、原告は、本件考案では内方折曲不可能な短寸グリップを有する把柄が取付可能である(検甲二の一ないし三参照)として、本件考案のグリップとイ号物件のグリップが均等物であることの根拠とするが、実用新案登録請求の範囲に記載された事項は考案の構成に欠くことができない事項というべきであるから、本件考案においてグリップが内方折曲可能でも不可能でもよいということは許されないし、また、右短寸グリップには、本件考案の目的を達成するために「短寸」という構造上の特徴があるのであって、かかる特徴を有しないイ号物件のグリップと均等物であるというのは困難である。

(六)  イ号物件の構成区分(5)の(2)が本件考案の構成要件(五)の(2)を充足することは当事者間に争いがない。

(七)  イ号物件の構成区分(6)が本件考案の構成要件(六)を充足することは当事者間に争いがない。

(八)  イ号物件の構成区分(7)が本件考案の構成要件(七)を充足することは当事者間に争いがない。

5  以上の検討によれば、イ号物件は、本件考案の構成要件(一)、(三)及び(五)の(1)を欠如しているのであるから、本件考案の技術的範囲に属するものではない。

なお、原告は、埋設後のイ号物件が本件考案の技術的範囲に属すると主張するが、埋設の前後により、以上検討した本件考案の構成要件の充足の有無に違いが生じるものではないから、仮に埋設後のイ号物件が本件実用新案侵害の対象物件であったとしても、右結論に変わりはない。

したがって、被告らの行為が本件実用新案を侵害するということはできない。

四  結語

よって、原告の請求は、その余の点を判断するまでもなく、いずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 永井ユタカ 裁判官 徳岡由美子 裁判官 鈴木秀行)

(別紙)

第一 イ号物件の説明

一 構造説明

(一) イ号物件の外装カバー1は、高窓より下方の壁面又は当該壁面と隣接する壁面もしくは柱面に埋設した窓開閉用操作函Bとその周辺部をともに覆設するものである。

(二) 長方形の外装カバー1の外周縁部1aは、平坦な表面部xと、表面部xから斜め下にR状に折れ曲がった周縁2と、表面部xと直交する垂下部yとからなる。

(三) 外装カバー1には、把柄10を収納する大窪面部3a、押釦P及び摺動枠体4を収納する孔(押釦収納部)3c、挿通孔3d、孔(深窪部)3e、グリップ収納孔3fを形成してなる窪面3が凹成されている。

(四) 大窪面部3aには、前記操作函Bに螺着する取付孔15、15がある。

(五) 大窪面部3aと孔(押釦収納部)3cとの境界部には、摺動枠体4の一側部の係止爪4aがあり、把柄10の先端に形成された係止片10cと係合して把柄10が板バネ24の弾発力により常時外方に押圧されているのを大窪面部3aに収納維持している。そして、押釦Pを圧縮バネ18の弾発力に抗して押し下げると、押釦Pに形成された傾斜部Pbにより、圧縮バネ23により大窪面部3a方向に常時押圧されていた摺動枠体4が逆に摺動して係止片10cと係止爪4aの係合が外れて把柄10が飛び出すことになる。

(六) 外装カバー1の表面部に位置する押釦Pの下面側には、連結軸Paが垂設され、その先端部は挿通孔3dを挿通し、ピン19により長尺レバー17の揺動端部と連結している。該長尺レバー17の揺動端部の反対側は、枢止部16に揺動自在に枢止めされ、長尺レバー17の中間部には操作函Bの第二押釦Qを押圧するためのビス20が具備されている。したがって、押釦Pを押圧すると、長尺レバー17を介して操作函Bの第二押釦Qが押し下げられ、即時開窓がスタートする。

(七) 把柄10の先端部には前記係止片10cとともに、回転自在のグリップ11が折曲不可状態で軸止されている。

(八) 押釦P方向とは異なる大窪面部3aの一側の孔(深窪部)3eには、該操作函Bの巻取本体5と連結するワンウェイクラッチC、蝶軸9、掛合片14及び把柄10の後端部が収納され、蝶軸9の長孔9b、9bと掛合片14のピン挿通孔14d、14dがピン22を、把柄10の後端部のピン挿通孔10b、10bと掛合片14のピン挿通孔14b、14bがピン21をそれぞれ挿通することにより、蝶軸9と把柄10の後端部が枢着されている。

(九) 前記掛合片14の蝶着部14c、14cが蝶軸9の切り込み部9a、9aの内奥に押し込まれ、しかも把柄10が掛合片14と平行になされる場合は、第3図の如く把柄10は外装カバー1の大窪面部3aに収納され、その際グリップ11はグリップ部収納孔3fを挿通し操作函B内に収納され、その結果、把柄10は外装カバー1の表面と略々同じ位置に制止する。

(一〇) これに対し、該掛合片14が、蝶軸9の切り込み部9a、9aの手前に浅く蝶着部14c、14cを位置させ、かつピン22の周りに九〇度回動(一段階目の屈曲)して外装カバー1の外表面1fに直立させる場合は、第7図の如く把柄10の後端部が右外表面1fから浮上した位置を維持できるので、把柄10をピン21の周りに一八〇度回動(二段階目の屈曲)させて下垂状にすることにより、把柄10の右周り回転による巻取本体5の巻取操作が可能な状態となる。

二 添付図面の説明

第1図は、外観を示すものであり、(A)は正面図、(B)は背面図である。

第2図は、窓開閉用操作函Bを断面して操作函内部を示す左側面図である。

第3図は、正面中央部を縦断して示す左側断面図である。

第4図は、第1図(A)のⅣ-Ⅳ線で切断した平面断面図である。

第5図は、蝶軸9と掛合片14と把柄10の後端部を拡大して示す斜視図である。

第6図は、押釦Pを押圧没入させて把柄10のグリップ11を大窪面部3aから飛び出させた状態を示す左側面図である。

第7図は、把柄10を飛び出させて巻取本体の巻取操作が可能な如く下垂させた状態を示す要部の正面中央部を縦断した左側断面図である。

三 符号の説明

Bは窓開閉用操作函、Cはワンウェイクラッチ、Pは押釦、Paは連結軸、Pbは傾斜部、Qは第二押釦、xは表面部、yは垂下部、1は外装カバー、1aは外周縁部、1fは外表面、2は周縁、3は窪面、3aは大窪面部、(原告主張の3b小窪面部は存在しない。)、3cは孔(押釦収納部)、3dは挿通孔、3eは孔(深窪部)、3fはグリップ収納孔、4は摺動枠体、4aは係止爪、5は巻取本体、9は蝶軸、9aは切り込み部、9bは長孔、10は把柄、10aは切り込み部、10bはピン挿通孔、10cは係止片、11はグリップ、14は掛合片、14aは蝶着部、14bはピン挿通孔、14cは蝶着部、14dはピン挿通孔、15は取付孔、16は枢止部、17は長尺レバー、18は圧縮バネ、19はピン、20はビス、21はピン、22はピン、23は圧縮バネ、24は板バネ

第二 本件考案の実施例(本件実用新案公報参照)

一 添付図面の説明

第1図は、この考案による外装カバーの正面中央断面図、第2図は、同上の上面図、第3図は、把柄を起曲反転した状態を示す一部省略断面図、第4図は、第1図のA-A断面図、第5図は、使用状態の概略図である。

二 符号の説明

1は外装カバー、2は周縁、3は窪面、4は円形凹部、7は一側孔、8は他側孔、9は蝶軸、10は把柄、11はグリップ、14は掛合片、15は取付孔、Bは窓開閉用操作函、Pは押釦である。

(第一 イ号物件の図面)

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〈省略〉

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(第二 本件考案の実施例の図面)

〈省略〉

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